独眼竜正宗が没した日、文弱と蔑まれる大名は、驚愕の野望を抱いて…。
戦国の残り香が漂う江戸。
鑓と茶筅髷の向坂勘十郎は、肥前大沼家の江戸家老から世にも奇妙な相談を受けた。
海賊船を退治してほしい!
三代将軍家光の御世。大目付の父に勘当され萬相談所で糧を得る向坂勘十郎は、肥前五万五千石の大沼家江戸家老から、奇妙な相談を受けた。
文弱と噂される藩主政元の漢籍を積んだ藩船を海賊から守ってほしいというのだ。
が、調べるにつれ、文弱とは幕府への隠れ蓑で、政元の胸には独眼竜正宗が成し得なかった大いなる野望が渦巻いているのがわかって勘十郎は……。