天保十一年の葉月。本所の一角に掲げられたのは、なんと「公家さま同心萬相談所」の看板。京から出てきた雲上人、中納言・飛鳥業平が、江戸市井の難事件を解決せんと、風変わりな商売を始めたのだ。とはいえ、この業平、報酬などは二の次で、とにかくおのれの興味を引く謎や事件を求める、なんとも困った変わり者。そんな業平の期待に応えるかのように、次々と持ち込まれる摩訶不思議な事件の数々……だがその裏では、業平の活躍を利用し、おのれの野望を遂げんとする瓦版・春秋屋玉次郎が、怪しい動きを見せていた。謎解きの面白さがいよいよ冴えわたる、大人気シリーズ第九弾。