天保十一年、梅雨。今日もひまをもてあまし、大川の河岸で釣り糸を垂れるお公家さま……誰あろう、この男こそが、中納言という雲上人の身でありながら、難事件の探索がなによりも好きという公家さま同心・飛鳥業平である。同心の三次郎、岡っ引きの寅吉とともに悪を退治するという、型破りな公家さまだが、今回、そんな業平の前に現れたのは、ある藩士を斬って脱藩した侍と、その仇を討とうと江戸にやってきた息子。仇討とひとことで言えば簡単だが、それぞれの武士たちは、そんな暗い事情を感じさせぬ好人物。なにやら、深い謎と闇が隠されているようだが……。ますます絶好調の大人気シリーズ第八弾。