商人の寮に住む飛鳥業平は、同心・和藤田三次郎や岡っ引きの寅吉を手下のように使い、難事件を解決する風変わりなお公家さま。その正体はなんと、旗本はおろか大名ですら頭の上がらぬ高貴な身分の『中納言』。抜群の推理力と鞍馬流の剣法で、庶民を泣かす悪党を叩きのめすのだが、聖人君子と呼ぶにはちと無理がある。そのわがままぶりに、周囲はいつもふりまわされる有り様であった。そんな業平の家に、ある日、焙烙玉が投げ入れられる。さしもの業平も肝をつぶすが、意外にも下手人の正体はすぐに判明。だがその裏には、とんでもない悪巧みが隠されていて……。権力や身分にとらわれぬ自由な男の、胸がすく大活躍。好評シリーズの第五弾。